コーチングニュース Vol.220

組織風土改革と社長コーチング

組織風土改革と社長コーチング

一兆ドルコーチ

昨年、日本国内でもベストセラーとなったので、手に取った方も多くいらっしゃるでしょう。かくいう私は、今年になってようやく読みました。

その中に、「コーチされるのに必要な資質」という章があり、「正直さ」と「謙虚さ」、「あきらめず努力をいとわない姿勢」、「つねに学ぼうとする意欲」と書かれていました。

私は、前職ビールメーカーで組織風土改革に携わっていた際にコーチングを学び始め、このコミュニケーションスキルは社員全員が体得すべきスキルだと感じました。

お互いが関わり合い「なぜ、できないのか?」から「どうしたらできるのか?」という思考ができるようになると、どんな現場でも絶対に成果につながると。

1年に100人、3年かけて300人の社内コーチを育成するプロジェクトを立ち上げ、最終的にこのプロジェクトは4年間で400人の認定コーチの資格を持つ社内コーチが誕生しました。

実は、このプロジェクトを牽引してくれたのは、社長でした。当時、一般社員の私が、何の恐れもなく社長に「私のコーチングを受けてみませんか?」と無邪気に声をかけ、社長在任3年の期間中計36回の社長コーチングを行ったのです。社内コーチ育成プロジェクトを成功させたい!そのためには社長にも体験知を持ってもらいたい!そういう想いからの声かけでした。

社長は、コーチングセッションのログを毎回ご自身でメモを取られ、退任後、36回分のセッションログを書き起こして私に送ってくださいました。そこには、「この3年間の自分自身の大きな変化を実感した。あらためてありがとう」というメッセージが添えられていました。私にとって、それは忘れられないうれしいギフトになりました。

当時、なぜ社長は社員のコーチングを受けようと思ったのか?それは、まさに「正直さ」と「謙虚さ」、「あきらめず努力をいとわない姿勢」、「つねに学ぼうとする意欲」という資質を社長自身が持っていたからだと、今になって思います。

社員との対話集会の中で、「僕は早坂さんのコーチングを受けているけれど、壁打ちみたいに自分の考えを整理できて、とてもありがたい。コーチは鏡のようなものだよ」と語ってくれることは、社員のコーチングに対する関心を喚起し、社内コーチ育成の強い後押しになりました。

社長はまた、本社の部長や場所長にコーチングを受けてみるよう、背中を押してくれ、私は一番多い時で7人の社内エグゼクティブコーチを実施していました。この上ないスポンサーシップを得て、コーチング文化は着実に醸成されていきました。

お互いに興味関心を持ち、有機的に関わる組織になるということは、社長も現場社員も階層も関係なく、縦横斜め、縦横無尽に関わり合う組織風土が醸成されるということです。一人ひとりが自己認識を高め、その一つひとつの変化の積み重ねが、当時業界での首位奪還につながりました。

さぁ、リーダーであるあなたが起こしたい変化は何ですか?

そのことで、社会にどんなインパクトを残しますか?

 

日本コーチ協会 会員
早坂 めぐみ