フィードバックとラディカルキャンダー
シリコンバレー の「CEO コーチ」と呼ばれているキム・スコット氏は優秀なリーダーであるためには、相手にとって耳が痛いことでもフィードバックする「ラディカル・キャンダー(徹底的な率直さ)」というソフトスキルが大切であることを説いています。
スコット氏は「部下を『個人的に気にかけること 』で、優れた上司として次にしなければならないことも、ずっと簡単にできるようになります。それは、進んで、言いにくいことを部下に告げることです」と述べます。
スコット氏は、自身のチームにも「ラディカル・キャンダー(徹底的な率直さ)」を浸透させたいと、簡単なフレームワークを提供しています。
それは、4象限からなるグラフです。縦軸は、「個人的に相手を気にかける」度合いを、横軸 は「挑戦する」度合いを示します。そして、「フィードバック」が、このグラフの右上の象限に入るよう意識することが大事だと説きます。そこに「ラディカル・キャンダー」が存在します。あとの象限は、右下は「嫌味な攻撃」になり、左上は「過剰な共感」になり、左下は「意図的な摩擦回避」になります。
以前、エグゼクティブコーチングをしていた研究開発担当のA役員のお話です。A役員は就任直後から、研究開発のさらなる活性化のためには、メンバー同士が領空侵犯するような、率直なコミュケーションをお互いする必要があると強く思っていました。
そこで、この「ラディカル・キャンダー」のことをお伝えしたところ、A役員は早速、そのグラフ上に、自分の状態をプロットしてみました。プロットした点は、やや右上に位置していました。そして、今度は組織全体を想定してプロットすると、やや左下(意図的な摩擦回避)に属していました。
そして、「ラディカル・キャンダー」を組織内に、浸透させるために、定期的に集まるミィーテングで、メンバー全員が、各自、自身でこのグラフを書く時間をとる事。そして、その後、チームで、組織全体として、今、どんな位置にいるかを話すことをしていきました。当初は、左下に位置することが多かった組織のグラフも、左上にシフトし、そして、やや右上にあがってきました。
すると、3か月を超えるあたりから、以前は入ってこないようなバットニュースや情報が、早いスピードでA役員のところまで、入ってくるようになりました。それに伴い、部下同志でも建設的に領空侵犯をするような動きもでてきて、組織の活気も上がってきたと言います。
A役員曰く「「ラディカル・キャンダー」のグラフ意識しているうちに、だんだんと、組織の透明性増し、組織が活性化したと思う。」と。
私たちも、コーチングしていく際に「ラディカル・キャンダー」を意識するのも1つのお勧めと思われます。
日本コーチ協会 会員
市毛 智雄