コーチングニュース Vol.225

第22回日本コーチ協会年次大会「今なぜ対話なのか」に参加して

第22回日本コーチ協会年次大会「今なぜ対話なのか」に参加して

◆先日(3月13日)に、日本コーチ協会主催の第22回年次大会がリモート講演で行われました。今回のテーマは「今なぜ対話なのか」でした。現代は、解や答のない世界と言われて久しく、そんな中で新しい意味や価値をそこに共創する「対話」の可能性が注目されています。

◆最初にご登壇された京都大学 経営管理大学院 教授 若林直樹氏は「縦割り組織の改革と対話的組織開発」というテーマで講演されました。若林氏は「顧客志向型に組織が向かうには縦割り組織が障害になる。」事。「壁の働きをマネジメントすることを 社員の対話で引き出す」対話型組織開発の可能性について、事例も含め言及されました。個人的には。組織の壁の働きを変える行動の3パターンとして「壁を作る人」「壁を超えて調整する人」「壁を動かす人」の視点に耳がたちました。

◆次に登壇されたのが ポストモダン・コレボレーティブ・アプローチ・セラピー共同創設者の心理学者ハーレーン・アンダーソン氏です。アンダーソン氏は「激変する困難な現代における 対話の促進」というテーマで講演されました。人間は対話的な生き物であること。「対話」の生成的側面、「対話」とは他者と交流し、探求すること。など、「対話」にまつわるエピソードを体験とともにお話いただきました。ハーレーン・アンダーソン氏自体の在り方から「対話」のもつ力が伝わってくるような気がしました。

◆エール株式会社取締役の篠田真貴子氏は、「組織のパフォーマンスに変化を起こす『対話』とは」というテーマでした。ご自身の体験から「聴く」ことの意味、意義について、とても分かりやすくご説明いただきました。 「聴く」ことは、相手の言語化を助け、社内外に橋をかける行為であること。そのことがイノベーションにもつながること。また、「聴く」ことは組織の役割りをフラットにすることであり、結果、エンゲージメントも高めること。また「対話」=「対聴」という視点のお話も印象的でした。

◆最後は株式会社コーチエィの有吉祐介氏から「3分間コーチ ワークショップの事例紹介」がありました。組織の活動のほとんどは、コミュニケーションによって成り立っていること。したがって、コミュニケーションが変わらなければ、人の意識も組織も変わらない。との前提のもと、では、コミュニケーションが変わるには、 コミュニケーションに対する理解、捉え方、目的が 変わる必要があり、それを体験的に学ぶワークショップとして3分間コーチワークショップの事例紹介がされました。

 半日の大会でしたが、「対話」に関して、様々な視点からの問いがあり、あらためて「対話」の有する可能性について実感できる大会でした。

日本コーチ協会 会員
市毛 智雄